ヘンリー・オースター/デクスター・フォード「アウシュヴィッツの小さな厩番」
新潮社
訳・大沢章子
2024年8月 発行
299頁
ドイツ生まれのユダヤ人少年、ハインツ・アドルフ・オースターの幸せな日々は、突然終わりを告げた
ゲットーへの「再定住」と父の死
強制収容所への移送と母の死
死があまりに身近な場所で、人間が失うことのできるほとんどすべてのものを失いながらも、運と知恵を頼りに少年は生き抜いた
ケルンから強制移送された2011人のほぼ最後の生き残りとして、なお寛容を語った魂の記録
内容は悲惨極まりないものの淡々と語られることと少年が生き延びたことが分かっているので落ち着いて読み進めることができました
また、何故ユダヤ人がナチス党から迫害を受けたのか、についてユダヤ人が辿ってきた歴史が分かりやすく著されているおかげで、これまであちこちから得ていたものの結びつかなかった知識が整理整頓されました
最終章の最後の7行
決して帰らないという70年の誓いを破ってわたしがケルンに戻ることを選んだのは現代のドイツの人々にひと時代前の人々がしたことについて罪の意識や恥を感じる必要はないとはっきり伝えるためです。
今の私たちには理解しがたい罪ではありますが、祖先の罪をその息子や娘たちが背負うべきではないのです。
憎しみは憎しみを生むだけです。
寛容こそが、すべての人種の人々が目指すべき未来の目標です。
過去の加害者たちは寛容を目指すべきでした。
そしてその犠牲者たちもまた寛容を目指すべきなのです。
ガザやウクライナ、日本と中国の間に起きていることを思い出します
