川上弘美「神様2011」

 

講談社
2011年9月 第1刷発行
2013年12月 第4刷発行
44頁

 

1993年に発表されたデビュー作「神様」と、2011年の福島原発事故を受け新たに書かれた「神様2011」が併録されています。

 

「神様」の一部が原発事故以降の様子に書き換えられています
穏やかに続くはずだった日常生活が突如奪われ大きく変わってまったあの日
同じ場所同じ人間がそこにいるのに、この変わりようは何なのでしょう

 

川上さんも色々な思いを胸にその後を過ごしていらっしゃるようです

 

あとがきより

2011年の3月末に、わたしはあらためて「神様2011」を書きました。
原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。
それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。
静かな怒りが、あの原発事故以来、去りません。
むしろこの怒りは、最終的には自分自身に向かってくる怒りです。
今の日本をつくってきたのは、ほかならぬ自分でもあるのですから。
この怒りをいだたまま、それでもわたしたちはそれぞれの日常を、たんたんと生きてゆくし、意地でも「もうやになった」と、この生を放りだすことをしたくないのです。
だって、生きることは、それ自体が、大いなるよろこびであるはずなのですから。

 

 

 

川上さんの「神様」は絶対神ではありません
太陽、山、海、川、風、雨、食物、さらにはトイレまで(ご不浄と言ったほうが良いかな)
古来より八百万の神々と共に生きてきた日本人
地震、台風、さらには温暖化など、自然をコントロールしようなど、畏れ多い話です
しかし、科学の発展と共に生きてきた私たちはそのことを忘れがちです
あの大震災を経験した今、日本というこの国をもう一度きちんと見直すべき時が来ているのでしょう