大江健三郎「静かな生活」

 

講談社文芸文庫

1995年9月 第1刷発行

1997年1月 第6刷発行

解説・伊丹十三

290頁

 

 

大変読みやすい作品でした

大江健三郎なんて無理、と思っている方にも是非お薦めしたいです

 

主人公は女子大生のマーチャン

両親が「ピンチを乗り越えるため」アメリカへ「避難」してしまい、日本に残った障害のある兄・イーヨーと、弟・オーちゃんの三人での日常生活を描いています

平穏無事とはいかず、近所では性的事件が起きたり、イーヨーが差別意識のある言葉をぶつけられたり、マーチャンが男に襲われそうになったところをイーヨーに助けられたり、様々な出来事が起こりますが、家族はそれらを乗り切っていく強い絆で結ばれており、傍からみれば波瀾万丈のようでも当人たちにとっては「静かな生活」を続けていくのです

 

人が生きていくうえで簡単に見過ごしてはいけないこと、無責任に対処してはいけないこと

丁寧に生きていくということはどういうことか

 

大江健三郎の作品でこのように癒されたような読後感に包まれたのは初めてです

 

伊丹十三監督で映画化されたようです

機会があれば観たいものです