葉室麟「銀漢の賦」

文春文庫
2010年2月 第1刷
解説・島内景二
273頁


時代小説です

銀漢=天の川
漢は男を意味することが多いのですがこの場合は漢江→大河を表します
賦は「早春賦」にも使われているように単なる詩歌の意味と思いがちですが、本作では、中国古代の詩の六義の一つで、心に感じたことをそのまま歌うもの、の意味で使われています

タイトルからだけでも『男のロマン』が感じられ読む前からワクワクでした

江戸・寛政年間
西国の月ヶ瀬藩
50を過ぎ白いものが目立つ歳になった
名家老であり文人としても名高い松浦将監
居合と鉄砲の名手、郡方・日下部源五
一揆の指揮をしたことで罪を問われ30歳で死んだ百姓の十蔵
十蔵の死を出世の踏み台にした将監に対する義憤から絶交を宣言した源五
10歳で出会った三人の友情と別れ
男たちの本物の友情は袂を分かつような事件をも乗り越え、やがて爽やかな感動を与えてくれる結末を迎えます

主人公は将監ということのようですが、私は源五を主人公として読みました

50歳の今、10歳の少年の頃、20歳の血気盛んな頃,30歳の悩み多き頃
今の状況に至った理由を説明するのに、うまい具合に過去の話が挟み込まれています
組み立ての上手さと、漢詩や和歌を随所随所に散りばめた作者の教養の高さ
期待通りの素晴らしい作品でした